管理者:プロフェッショナルへの道:第10回目

「日本的経営の特徴とは」


日本的経営とは何か タイ人の管理者から時々、「日本的な管理を押し付けないで欲しい」と言われたり、「日本的な経営感覚は海外では通じない」等の話を聞く事も良くあります。しかし実際に「日本的経営とは何ですか」といきなり聞かれて理路整然と即答できる人はかなり少ないと思います。海外での駐在員として仕事を進めて行く上では自分自身が行っているのは「日本的経営」なのですから、これを正しく整理して理解しておく必要があります。

日本的経営の特徴は学識者、経営者などがいろいろ述べており見解も分かれていますが、一般的には次のようなものとされています。

日本的経営の特徴

1 終身雇用制
2 年功型の賃金制
3 年功型の昇格
4 ジョブローテーション
5 雇用の安定方針
6 福利厚生

そして日本的経営の「意思決定」の特徴としては以下のようなものがあります。

日本的経営の「意思決定」の特徴

1 集団的意思決定
2 集団責任
3 稟議制度
4 小集団活動
5 提案制度

これを見てわかる通り日本的経営の中心は「人間尊重、会社と社員の相互信頼の経営」と言えると思います。例えば皆さんの会社の就業規則を読んで見てください。そこには「譴責」「減給」「出勤停止」「降等」「解雇」の内容は詳しく書かれています。解雇の規定として「企業の合理化その他、業務の運営上やむを得ないと認める事由があるとき」「正当な理由なく転勤、出向、その他人事上の移動(職場変更を含む)を拒んだとき」などと書かれている事もあります。しかし「あなたの給与を毎年上げて行きます」「勤続年数により昇格させます」「会社はあなたを定年まで雇用します」等とは一言も書かれていないはずです。

しかし就業規則に書かれていないから「雇用の保証が心配だ」と感じる人はいないはずです。「就業規則は建前的なもので、何かあっても会社が何とかしてくれる」と信頼しているのが普通です。この信頼は空気や水のごとく当たり前の存在であり、日ごろは特に意識していないはずです。この無意識の会社と社員の相互信頼こそが日本的経営の最大の特徴なのです。

戦後、日本経済の飛躍的発展はこの相互信頼がベースになってモチベーションが高まり、日本経営の強みであるQC等に代表される「小集団活動」や「提案制度」が活性化したためであると言う側面があります。

このような経営法式により日本は戦後、経済を大きく伸ばして世界に冠たる経済大国のなりました。しかしここにきて経済の失速とともに陰りが見えてきているのも事実です。特に 「終身雇用制」「雇用の安定方針」は大胆なリストラによりすでに崩壊しつつあり、「年功型の賃金制、昇格」も「実力制の年俸、昇格」制度に取って代わられつつあります。

現在、30代以降の方々はちょうど日本企業の良き時代から変動への時代への転換期にいるわけですが、これからは日本人の企業に対する意識も大きく変わって来ることは間違いありません。と言うのも私が若い頃は自分の父親はサラリーマンで定年まで勤め上げましたから、一つの会社で定年まで勤め上げるのが当たり前ということを肌で感じていました。しかしこれから就職を考えている若い世代はすでに自分のたちの父親がリストラで解雇されたり、ボーナスが出なかったり、給料カットになったりする現実を目のあたりにしていますから、企業は自分の雇用、収入を保証してくれないということを肌で感じています。

これらの若い世代の人たちが会社に就職する頃は経営側が「雇用、収入が保証できない体制」であり、社員の側も「会社はあてにできない」との意識がありますから、日本的経営は企業、社員の両方の影響から大きく変って来ることと思います。





著者:UVC管理者セミナー講師 立川 剛
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